買ったものが届かない、聞いていた内容と違う。事業者と話がつかないとき、カード会社へ支払いを止めてもらう制度があります。支払停止の抗弁といいます。
法律の解説では「抗弁の接続」とも呼ばれます。事業者に対して言える「払わない理由」(抗弁)を、カード会社に対しても言えるようにつなぐ、という意味です。根拠は割賦販売法の第30条の4(リボ払いなど)と第35条の3の19(個別のクレジット契約)です。
ただし、使える条件が決まっています。
一括払いは対象外
支払停止の抗弁は、割賦販売法という法律に基づく制度です。日本クレジット協会は、この制度を「割賦販売法に定める信用購入あっせん、ローン提携販売の方法で購入(受領)した際に申し出ることができる」と説明しています。
信用購入あっせんとは、代金を2か月を超えて支払う契約のことです。
つまり、対象になるのは次のような支払い方です。
| 支払い方 | 制度の対象 |
|---|---|
| 分割払い | 対象 |
| リボルビング払い | 対象 |
| ボーナス一括払い | 対象になりうる |
| 2回払い | 対象になりうる |
| 1回払い(一括払い) | 対象外 |
日本クレジット協会は「支払期間が2月未満の取引のとき」は抗弁権を行使できないとしています。ネット通販でもっともよく使われる1回払いは、この制度では止められません。
金額の下限もある
対象になる支払い方であっても、金額が小さいと使えません。
- クレジットカードのリボルビング払い:現金価格が3万8千円未満のときは対象外
- その他のクレジット:支払総額が4万円未満のときは対象外
では一括払いは何もできないのか
制度としての抗弁権は使えませんが、カード会社が動けないわけではありません。
国際的なカードブランドには、加盟店に問題があった取引について請求を取り消す仕組み(チャージバック)があります。これは法律上の権利ではなく、カード会社とブランドの規約に基づく手続きです。
楽天カードは、海外での二重請求やキャンセル済みの請求について「現地のカード会社に対して、請求取消の申し立てをいたします」と案内し、そのうえで「申し立ては必ずしも認められるものではございません」「取り消しが完了するまでには時間がかかります」としています。
つまり、一括払いの場合は「止める権利」ではなく「取り消しを申し立ててもらう」形になり、結果は保証されません。
先にやるべきこと
どちらの場合でも、まず事業者と交渉した記録が必要です。
- 事業者へ連絡し、いつ・どのように申し出たかを記録する
- 事業者の回答を保存する(メールが望ましい)
- 注文時の画面、契約条件のスクリーンショットを保存する
- そのうえでカード会社へ相談する
Robloxのように、カード会社へ異議申立てを行うと返金ができなくなると明記している事業者もあります。事業者と連絡が取れるうちは、そちらが先です。
ただし、カードそのものが不正に使われている場合は別です。 この場合は交渉の相手がいないため、すぐにカード会社へ連絡してください。
相談先
事業者とのやり取りで解決しない場合は、消費者ホットライン 188(いやや)へ相談できます。カード会社への申し出方についても案内を受けられます。